栃木県那須塩原市、金属工芸アトリエPOPPOのブログです。
常設販売 宮城県仙台市ギャルリアルブル
オンラインショップでも取り扱っています。
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モビールをたくさん常設展示しています。
作品は、instagram:@atelierpoppoに載せています!!
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片切タガネ。

最近は、設置のお仕事で大きめのモビールを制作しています。
今回は作品と同時に作品のプレートも一緒に作りました。

外注で作ろうかとも思ったんですが
自分で彫るのが一番、楽で早かった。


片切タガネを使って、書道のように文字を彫ることができます。
まだまだ下手ですが、少しずつでも技術は高めていきたいものですね。
 
設置まで後少し。がんばります。




 
うつわ「キオク」の制作過程
なんだかとっても寒いですね。
雪は少ないのに、気温が低くて。。。
ああ、さむい。
 
今やっている展覧会、伊丹市立工芸センターでの「東北のうつわ」展について。
少しだけでも作品の解説をしたいと思います。
普段モビールの制作が多いですが、うつわの展示でした。

ブログの記事どうしようかなとか常々思うことで
今年は、少し作品の背景などなどを言葉にしてみます。
制作中の作品といっても、発表できないところもあったりするので。




 
こちらの作品はうつわ「キオク」としました。
サイズは約300mm×400mm×120mmってところでしょうか。
素材は銅になります。
 
2009年に朝日現代クラフト展出品に制作したものです。
この作品に至るまでは。
 
大学3年(2005)の時に、銅の変形を、絞る過程を何度か繰り返すうちに
絞る、つまり形を成形して立ち上げていく過程で
内側と外側の空気が見えてきて、どうも息苦しさを感じて
穴を開ける事で何か変わることがあるのかと考えたりしていました。
 
その時は、絞り場に木瀬さん(鍛金の先輩)もいて
インターネットで他の大学で研究してる人がいることなど教えて
もらったりして。この表現で何を伝えることができるか。
テストピースで小さい物で実験をして考えていました。
 
3年後期の自由課題に提出したのものの答えがでず。
その時は、キャンドルカバーや小物でなんとか進級できました。
他にも、鉄鍛造の課題とかも一応しっかりとは提出したのはあります。
 
その後は、ステンレスの研究、制作がほとんどで。
 
2008年、大学のアシスタントの時に改めて彫金、鍛金を勉強しているときに
気になっていた銅の研究、制作を再開したのでした。
 

 
これは、山形での本田ゆうすけ・湯浅記央二人展の時に制作した菓子鉢。
サイズは180mm程度でしょうか。
 
元々、銅板をパンチング(穴が均一なもの、パンチング板)したものは
どうも美しくなる気がしないし、綺麗じゃないと思ってて。
それで、色々試した結果2種類の穴が上手く変形過程を表して美しくなると
思いました。これは、デザインを意識して制作しました。

この制作もあり、
もう一度見つめ直す中で、この銅の成形過程を表現したいと考えました。
 


なんだかんだで絞っている時間というものは、制作者において楽しく、
充実した時間であって。無心になる感じでしょうか。
金槌で銅を叩き成形する。
少しその感覚を作品を見ている人とも共有したいと考えました。
大きくすることで、その変形をより大きく表すことができるんじゃないかと
思いまして。

銅の伸縮によって成形過程を表し、その時間をキオクするもの。
作家にとってのキオク。絞り場で銅を叩いたその時間なのです。
銅の変形する面白さ、絞った感覚、費やした時間などなど
作者のそんな事をうつわ「キオク」に表現しました。

うつわであり、その時の感覚を留めている器なのでした。
何に使うのと言われてしまう作品ですが。

作家が作者として表現する作品は、いろんな意味を含めていたりします。
それぞれの作品にそれぞれの想いや願い、その時の感情を
をこっそり込めて制作してたりします。
作るだけじゃ作家じゃない気がして。

制作時、朝日現代に出品するということで、金子先生がふらっと一目みて
軽く「これいけるよ」といってもらい。ホントかななんて思ってましたが
運良く賞を頂き、改めて金子先生すごいなと思いました。

 
伊丹市立工芸センターにて東北のうつわ展に
このシリーズの小品と一緒に出品しています。
2月23日までですね。
想いや考え、その時間があって、展示しております。